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2023.05.01

法改正情報

【2023年4月改正】男性労働者の育休取得率等の公表とは  ~ 制度の概要と公表内容について ~

ヒューマンテック経営研究所 所長 藤原伸吾(特定社会保険労務士)

2022年4月より改正育児・介護休業法が段階的に施行され、2023年4月1日より、従業員が1,000人を超える企業について、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務づけられました。

そこで今回は、制度の概要を解説した後、対象企業の範囲や公表内容について見ていきたいと思います。

1.改正後の制度の概要

育児・介護休業法の改正により、2023年4月から、常時雇用する労働者が1,000人を超える企業について、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務づけられることとなりました。「常時雇用する労働者」とは、雇用契約の形態を問わず、事実上、期間の定めなく雇用されている労働者をいい、具体的には次の者が該当します。

期間の定めなく雇用されている者
過去1年以上引き続き雇用されている者または雇入れのときから1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

このため、正規雇用の従業員だけでなく、1年以上雇用されているなど一定の要件を満たした有期雇用労働者やパート・アルバイト等も「常時雇用する労働者」に含まれます。これらの従業員の人数を合計した結果、1,000人超となる場合は、育児休業等の取得状況の公表が必要となるため、留意が必要です。

2. 公表内容等

ここでは、公表する育児休業等の取得状況について、その内容や方法、時期などを具体的に見ていきましょう。

(1)公表内容

常時雇用する労働者が1,000人を超える企業は、以下の①または②のいずれかの割合を公表しなければなりません。

① 育児休業等の取得割合

公表前事業年度において育児休業等をした男性労働者の数

公表前事業年度において、男性労働者のうち配偶者が出産した者の数

 

この場合の「公表前事業年度」とは、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度をいいます。

また、「育児休業等」とは、育児・介護休業法に規定する以下の休業を指します。

ⅰ)育児休業(産後パパ育休を含む)
ⅱ)3歳未満の子を育てる労働者について所定労働時間の短縮措置を講じない場合の代替措置義務(法23条2項)または小学校就学前の子を育てる労働者に関する努力義務(法24条1項)の規定に基づく措置として、育児休業に関する制度に準ずる措置が講じられた場合の当該措置によりする休業

          
② 育児休業等と育児目的休暇の取得割合

公表前事業年度における
ⅰ)育児休業等をした男性労働者の数

の合計数

ⅱ)育児を目的とした休暇制度を利用した者の数

公表前事業年度において、事業主が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産した者の数

この場合の「育児を目的とした休暇」とは、育児を目的とするものであることが明らかにされているもので、小学校就学の始期に達するまでの子を対象とした休暇制度をいいます。ただし、育児休業や子の看護休暇など法定の制度は含まれません。

(2)公表方法

インターネットの利用等により公表する必要があります。具体的には、自社のホームページや厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」(※)の利用等が考えられます。

※ 両立支援のひろば:https://ryouritsu.mhlw.go.jp/
 

(3)公表時期

公表前事業年度終了後、おおむね3ヵ月以内に公表することとされています。

3.おわりに

今回は、改正に伴う制度の概要を見てきました。次回は、よくある質問を中心に実務上の留意点について見ていきたいと思います。

以上

 

次回コラム:
【2023年4月改正】男性労働者の育休取得率等の公表とは~ 実務上のポイントおよび留意点 ~

 

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