ヒューマンテックのホット・ニュース

  • HOME
  • 最近の法改正の動向・判例等の情報

【最高裁判例】長澤運輸事件の判決が確定しました

2018.6.2

長澤運輸事件は、運送会社で定年退職後に嘱託社員となった運転手らが、定年前後で職務の内容や配置の変更の範囲が同一であるのに、賃金が定年前より20~24%程度低下するのは労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)に違反するとして提起した訴訟です。
一審の東京地裁では当該労働条件の相違は不合理であると判断されましたが、これに対し二審の東京高裁では、定年後継続雇用者の賃金を定年時より引き下げることは不合理とは言えないと判断されたたため、最高裁の判決に注目が集まっていました。
判決では、有期雇用者と無期雇用者との労働条件の相違が不合理か否かを判断する際に考慮される事情は、労働者の職務内容や配置の変更範囲に限定されないとし、定年制という制度上の特性や、再雇用者は定年まで正社員の賃金を支給され、老齢厚生年金の支給も予定されていることから、有期雇用者が定年退職後に再雇用された者であるという事情は、労働契約法20条にいう「その他の事情」として、不合理性の判断の際に考慮されることとなる事情にあたるとしました。
さらに、賃金項目が複数ある場合の、個々の賃金項目に係る労働条件の相違が不合理か否かを判断するに当たっては、当該賃金項目ごとの趣旨を個別に考慮すべきとしました。
その結果、賃金の基本部分である能率給、職務給が支給されないことは、その低下率、組合との交渉の経緯、嘱託社員の賃金体系等を総合的に考慮すると不合理とはいえないとするとともに、各手当についても、住宅手当と家族手当は福利厚生と生活補償の趣旨、役付手当は正社員の役付者に支給されることから不合理ではないと判断しました。
また賞与については、「労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の意欲向上等といった多様な趣旨を含み得る」とした上で、嘱託社員は定年時に退職金の支給を受けていること、老齢厚生年金の支給を受けることも予定されていること、更に同社ではその報酬比例部分の支給開始までは調整金が支給されること、嘱託社員の賃金体系は成果が賃金に反映されやすくなる工夫があること等の事情を総合考慮すると、嘱託社員に対して支給しないことは不合理と評価することはできないと判断しました。
一方、精勤手当については、職務内容が同一である以上、皆勤を奨励する必要性に相違はなく、支給しないのは不合理であるとしています。

詳細は以下の頁を参照してください。

(判決文)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87785

PAGE TOP